シンプルで、コロンとした柔らかなフォルムの『はなもっこ置時計』。見た目の可愛さとは裏腹に、長い歴史を持つ伝統的な素材や技術へのこだわりがいっぱい詰まった置時計です。使われている素材を中心に特長をご紹介いたします。


特長1 岩絵具について

全12色のカラフルな文字盤は、すべて天然の鉱物を砕いて作った『岩絵具』を塗ったものです。

岩絵具は今から1400年前の飛鳥時代に大陸から仏教などと一緒に伝わった、とても長い歴史のある絵具です。
宝石とも言えるような貴重な石を砕いて作った絵具はとても高価なものですが、絵画や仏像・寺院の装飾で多用され、 特にアズライトから作られる深い青色の『群青』は日本美術を代表する色彩です。

現在、普通の絵具の原料は、ほとんどが科学的に合成して作られた人工のものですが、 日本画ではこうした天然の絵具が1400年間、技法もほとんど変わらず現在も使われ続けています。

粒子が粗くザラザラとした砂のような質感で、色によっては複数の色の粒が混ざり合い、複雑で深みのある色彩が魅力です。

粗い岩絵具を均一に塗るのは熟練の技が必要です。
日本画家でもあり、25年以上岩絵具を使い続けているスタッフが、塗りの作業を担当しています。その工程は、下地処理も含めると、10回ほど塗っては乾かしを繰り返す、根気のいる作業です。



特長その2 木地について

置時計本体の木の部分は、漆器の産地として400年以上の歴史をもつ、石川県加賀市山中温泉の木地師、久津見龍也さん(伝統工芸士)に作っていただきました。 回転する木に刃を当てて形作る「轆轤(ろくろ)挽き」という伝統の技術で、一つ一つ作られています。 協力:我戸幹男商店

 先日工房にお邪魔をして、作業風景を見学させていただきましたが、木の塊に躊躇なく刃を当て、どんどんと繊細な形が出来上がっていく様子は見事の一言でした。
轆轤挽きだからこそできるなめらかな曲線は、柔らかく優しい印象で、お部屋のインテリアにすっと馴染みます。

木の素材は欅(けやき)です。
木目が美しく硬いため、古くから家具や建築用材として多様されてきました。
なめらかでしっとりした質感と、流れるような木目をお楽しみください。

もちろん、自然のものなので、木目や木の色はそれぞれ異なり、個体差があります。予めご了承ください。

木地の色はナチュラルで優しい印象の『プレーン』と、少しクラシックで落ち着いた印象の『ブラウン』、引き締まったかっこいい印象の『ブラック』の3色。お部屋のインテリアに合わせてお選びください。
どれも食器としても使われるウレタン塗装を施してありますので、シミや汚れがつきにくい仕上げになっています。 



特長その3 和紙・金箔について

岩絵具を塗る下地には、金沢市二俣町で手漉きの和紙を製作している、石川まゆみさんに漉いていただきました。
厚手に漉かれた楮の和紙はとても丈夫なので、粗い岩絵具をしっかりと定着せることができます。 

 石川さんの漉かれる紙には、落水紙という模様の入った紙があります。
これは漉きたての濡れた紙に水を落とし模様をつけたもの。

この線状の模様のある和紙を使ってできた新商品が、金とプラチナ箔を貼った『摺箔』のシリーズです。
落水紙の模様の部分は、少し薄くなっているため、紙に微細な凹凸があります。
その凸部分に糊をつけ、金やプラチナ箔を貼って、乾いた後に糊が付いていない部分の箔を取り除くことで、落水紙の線状の模様が現れます。
和紙は箔や岩絵具に隠れてほとんど見えませんが、縁の下の力持ちとして、この置時計になくてはならない存在です。

また、金箔は、国宝の修復等にも使われ、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている、日本古来の『縁付金箔』を使用しております。
落ち着いた風合いの金をお楽しみください。

時間を示す12個の点(インデックス)にも金箔を使用しています。
これは、手漉き和紙に金箔を貼り付け、丸く打ち抜いたものです。
一つ一つ正確な位置に、手作業で貼り付けています。
金箔はわずかな光でも輝きますので、暗いところでも時間がわかりやすい、置時計としての機能面でも優れた素材です。



特長その4 革カバーについて

置時計裏面には、革製のカバーが付きます。
見た目の向上とともに、革で機械を包み込むことで、内部の音を吸収し、
静かな環境でも秒針のカチカチ音は聞こえません。

革素材は、腕時計の革ベルトを製作する工程で出る端切れを有効活用しました。
素材大切に、可能な限り無駄にせず利用する、そんなものづくりを心がけております。

革カバーには刻印(名入れ)を入れることができます。(有料 +880円(税込))
レーザーで入れますので、かなり自由にご要望にお応えできます。
ご希望内容をお伝えいただければ、弊社デザイナーがレイアウトをご提案いたします。
誕生日プレゼントや結婚式の記念品など、大切な方への贈り物などに、ぜひご活用ください。

刻印についての詳細は、こちらのページをご確認ください。



特長その5 シーブレーンについて

シーブレーンは石川県金沢市で1994年より25年以上、手作りの腕時計を作り続けている工房です。
2008年には、漆や金箔、岩絵具といった伝統素材を文字盤に取り入れた『はなもっこ』ブランドをスタートさせ、
手作業だからこそできる、繊細でぬくもりのある腕時計を作り続けてきました。

この置時計は、そうした腕時計での製作で得たオリジナルな技術を集結し、完成しました。
妥協なく作り込まれたディテールは、精緻な作業に慣れた腕時計メーカーだからこそ。
時間を見る時計としての機能だけではなく、色やかたち、素材、そして手仕事の技を愉しむ、オブジェのような置時計です。



 


よくあるご質問

【目覚まし機能はあるの?】
目覚まし等の機能はございません。時間を示すのみのシンプルな構造の置時計です。


【文字盤部分がガラスが覆われていないけど大丈夫?】
岩絵具等の素材の魅力を直に感じていただきたいとの思いから、文字盤にはカバーを付けておりません。
多少のホコリ等で時間が狂うことはありませんが、文字盤は繊細です。 爪など硬いものでひっかくと傷がついてしまいますので、ご注意ください。 ホコリ等よごれが気になる場合は、木の部分は柔らかい布や紙で拭き取ってください。文字盤部分は、毛先の柔らかい筆やカメラレンズなどを掃除するブロアー等で払ってください。


【秒針の音はしますか?】
使用しているムーブメントは、ほとんど音のしないものを採用しております。
ムーブメントに直接耳を当てるとかすかに音は聞こえますが、少し離れれば静かな寝室でもほとんど気になることはありません。
音への反応は個人差があるかとは存じますが、弊社スタッフが静かな環境で実際に使用してみてもカチカチと音が聞こえたことはなく、お客様からも音が気になるといったご意見はお寄せいただいておりません。